ワンちゃんのワクチンには、狂犬病予防法により年に1回の接種が義務付けられている狂犬病ワクチンと、任意で受ける混合ワクチンの2種類があります。
狂犬病ワクチン
狂犬病の接種時期は、下記となります。
- 1. 生まれて初めての注射…生後90日を過ぎた日から30日以内
- 2. 翌年度以降の注射…毎年4月1日から6月30日の間
すでに登録されている方は、区市町村よりハガキが届くので必ずチェックしてください。
動物病院で接種した時は病院で渡される注射済証を区市町村窓口に持参し、「注射済票」の交付を受けましょう。注射済票は鑑札とともに必ず首輪などにつけてください。
狂犬病ってどんな病気?
狂犬病はとても恐ろしい病気です。
狂犬病は有効な治療法がなく、いったん発症すると人もワンちゃんも悲惨な神経症状を示してほぼ100%死亡する極めて危険なウイルス性の人獣共通感染症です。
世界では150以上の国と地域で発生しており、アジア・アフリカ地域を中心に毎年約6万人が死亡しています。
日本でも1940年代までは多くの犬が狂犬病にかかり、犬にかまれた人も狂犬病で死亡していました。
このため1950年に狂犬病予防法が制定され、同法に基づいて犬の登録義務、毎年の狂犬病予防接種義務および野犬の捕獲等の対策が徹底された結果、国内発生が抑えられるようになりました。
現代でも狂犬病にかかるの?
狂犬病は現在日本やイギリスなど数ヶ国を除いて全世界で発症しています。
日本では狂犬病ワクチン接種が法律により義務付けられ、対策が徹底されたおかげで1957年に清浄化することができました。
しかし現在、接種率が年々減少傾向にあります。 実はこれはとっても危険なことです!
近年、狂犬病ウイルスが国内に侵入する危険性が指摘されています。
ワクチン接種をしっかり行っていれば、万一狂犬病ウイルスが侵入してきても発症を未然に防ぐことができますが、このまま接種率が減少していけば国内で狂犬病が発生した場合、社会は極めて危険な状態に陥ります。
狂犬病は愛犬だけでなく飼い主様ご自身、さらにはご家族や周りの方にも危険が及ぶので、狂犬病のワクチン接種は毎年行いましょう!
混合ワクチン
混合ワクチンで予防できる伝染病には、時折流行したり、死亡率の高い病気もありますので、ワンちゃんたちには事前に接種をすることで、抵抗力をつけてあげることが重要です。
1年に1回の接種をおすすめしています。
当院で取り扱っている混合ワクチンは、6種混合ワクチンと8種混合ワクチンの2種類です。
6種混合ワクチンは、下記の1~6の病気を予防するワクチンが含まれています。8種混合ワクチンは、6種混合ワクチンにレプトスピラ2種類を予防するワクチンを加えたものです。
1. 犬ジステンパーウイルス感染症
元気・食欲低下、発熱、鼻汁・咳・呼吸異常などの呼吸器症状や、下痢・嘔吐などの消化器症状、発作・顔面のケイレンなどの神経症状がみられる。 根本的な治療法はなく、仔犬では重篤な症状と経過がみられ死亡することが多い。
2. 犬パルボウイルス感染症
急性的な嘔吐、血混じりの下痢、元気消失、発熱がみられる。若齢犬の場合、死亡率が非常に高い。
3. 犬伝染性肝炎
・甚急性型…発熱、元気消失、嘔吐、下痢などがみられ、突然死する場合がある
・急性型…上記に肝腫大、腹痛などが加わる
・軽症型…(症状をあまり示さない
※回復期に目が青白く濁る場合もある(いわるゆブルーアイ)
4. 犬アデノウイルス2型感染症
犬伝染性気管支炎(ケンネルコフ)の一因で、軽症例では咳のみだが、重症化すると膿性鼻汁や眼脂を伴い、発熱・元気消失・食欲不振をきたす。
5. 犬パラインフルエンザウイルス感染症
犬伝染性気管支炎(ケンネルコフ)の主因と考えられ、発熱・元気消失・鼻汁や咳が出る。
6. 犬コロナウイルス感染症
軽度な胃腸炎を引き起こし、食欲不振・嘔吐・下痢・脱水がみられる。一般的に死亡率は低いが、他の感染症と併発すると致死的な転機をたどる。
7.8. レプトスピラ感染症
原因はレプトスピラ菌という細菌で、いくつかの型が存在する。出血を伴う黄疸や腎機能障害、肝機能障害がみられることもあれば、不顕性感染していて無症状のこともある。感染動物では尿中へ菌が排出されるため、人への感染源になりうる。(人獣共通感染症)